島根県での空き家の放置に伴う重大なリスク|災害時の所有者責任と対策を解説

1.はじめに:島根県の実家が「空き家」になったら考えたいこと
島根県にお住まいの方、また現在県外にお住まいで島根に実家がある方等にとって、実家などの「空き家」問題は避けて通れない身近な懸案となっています。
総務省が発表した最新の調査(令和5年住宅・土地統計調査)でも、島根県内の空き家数は54,600戸あり、住宅総数320,300戸の17.0%となっています。一昔前であれば、「いつか誰かが住むかもしれないから」「思い出があるから」とそのままにしておくこともできたかもしれません。しかし今、その「そのままにする」という選択が、実は大きなリスクを抱えることになってしまうのです。
2024年以降、法律は「所有者が責任を持って管理する」ことをより厳しく求めるようになりました。相続の手続きが義務化され、管理が不十分な家には税金の優遇を打ち切る仕組みなども始まっています。この記事では、島根県ならではの事情を踏まえながら、空き家を放置することで起こりうるトラブルと、どうすれば安心できる未来を作れるのかを、専門知識がなくてもわかるように優しく解説していきます。
2.もしも事故が起きたら?知っておきたい「所有者の責任」
「家が古いからといって、誰かに迷惑をかけることなんてあるの?」と思われるかもしれません。しかし、空き家が原因で誰かが怪我をしたり、お隣の家に被害を与えたりした場合、法律では非常に厳しいルールが定められています。
2-1. 理由がなくても責任を負う「無過失責任」
民法第717条には「土地の工作物責任」というルールがあります。難しい言葉ですが、簡単に言うと「建物等の不備が原因で誰かに損害を与えたら、持ち主が責任を取らなければならない」というルールです。
ここで特に注意したいのが、“持ち主本人に悪気があったかどうか、管理をサボっていたかどうか”などに関係なく、責任が発生する「無過失責任」という点です。「遠くに住んでいるから知らなかった」「忙しくて手入れができなかった」という理由は、法律の世界では通用しません。一度も住んだことがない相続した家であっても、持ち主である以上、その責任から逃れることはできないのです。
2-2. 裁判所が考える「適切な管理」のライン
「台風や大雪は自然災害だから、家が壊れても仕行がないのでは?」と考える方もいらっしゃいます。しかし、裁判所の判断はもっと厳しいものです。
島根県で毎年発生するような台風や、例年通りの雪であれば、「それくらいは予測できたはず」とみなされます。 持ち主が「あらかじめ壁を補強したり、屋根の瓦を固定したりしていれば防げた事故だ」と判断されれば、それは「管理不足(保存の瑕疵)」となり、賠償の対象となってしまいます。
3.もしもの時の損害賠償、実際いくらかかるの?
具体的に、空き家が原因で事故が起きた場合、どのくらいの支払いが発生する可能性があるのでしょうか。公益財団法人日本住宅総合センターの試算モデルをもとに、身近なケースで考えてみましょう。
3-1. ケース1:火災による隣接家屋の全焼・死亡事故(想定)
物件損害等:1,315万円
人身損害 :5,060万円
合計 :6,375万円
火災保険に入っていればカバーできる場合もありますが、空き家専用の保険は種類が限られ、条件が厳しいこともあるため注意が必要です。
3-2. ケース2:倒壊による隣接家屋の全壊・死亡事故(想定)
物件損害等:1,500万円
人身損害 :1億9,360万円
合計 :2億860万円
島根県では冬の雪の重みで家が倒壊するリスクがあります。お隣の家を押しつぶしてしまい、居住者が亡くなられてしまった場合、個人の一生をかけても支払いきれないほどの賠償金額になる恐れがあります。
3-3. ケース3:シロアリ・ネズミの駆除被害(想定)
物件損害等:23.8万円
空き家から発生したシロアリがお隣の家にまで広がってしまった場合、その駆除や修理費用を請求されることもあります。ご近所付き合いが悪化するだけでなく、金銭的な負担も発生します。
3-4. ケース4:外壁材などの落下による死亡事故(想定)
人身損害 :5,630万円
瓦一枚、看板一枚の落下でも、それが高い場所からの落下であれば命に関わります。
※参照:公益財団法人日本住宅総合センター「損害額の簡易な算定方法の設定とモデルケースでの試算」【https://hrf.or.jp/wp-content/uploads/2025/06/songai_shisan.pdf】
4.見落としがちな「空き家の地震保険」の落とし穴
損害賠償額の大きさのお話をしましたが、ここで多くの方が「保険に入っているから、もしもの時も大丈夫だろう」と考えがちです。しかし、空き家と地震保険には、知っておかなければならない3つの厳しい現実があります。
4-1. そもそも「空き家」は地震保険に入れない
地震保険は通常、火災保険とセットで加入するものですが、保険会社にとって空き家は「リスクが高い物件」とみなされます。
- ●住宅用としての制限: 多くの地震保険は「居住の実態があること」を条件としています。別荘のように定期的に寝泊まりしていれば認められることもありますが、完全に放置された「空き家」は原則加入が認められません。
- 4-2. 「家財」への保険はほぼ適用されない
実家に仏壇や思い出の家具、家電などが残っていても、空き家状態になると、火災保険の「家財補償」そのものが対象外となるケースが多く、家の中の家財に対して保険をかけることは非常に難しくなります。
そのため、地震によって家が倒壊し、中にある家財がすべて壊れてしまっても、補償の対象外となり、1円も保険金が支払われないという事態が現実的に起こり得ます。
4-3. もし加入できても、補償額は「時価」で下がり続ける
運良く保険に加入し続けられたとしても、地震保険の補償額は建物の「時価(今の価値)」に基づきます。
●島根の古い木造家屋の場合
築年数が経過していると、時価評価は驚くほど低くなります。もし大地震で全壊しても、受け取れる保険金だけでは「建物の取り壊し費用」すらまかなえない…という場合もあるなど、厳しい現実があるのです。
「保険があるから放置しても平気」ではなく、「空き家になった時点で、保険という守りが弱くなっている」と認識することが、正しい資産防衛の第一歩です。
- 5.なぜ島根の空き家は「傷み」が早いの?
島根県特有の気候が、空き家の寿命を縮める大きな原因になっています。「実家は頑丈に建てたから大丈夫」と思っていても、人が住まなくなった家は驚くほど早く傷みます。
5-1. 島根の「重たい雪」が建物に与えるダメージ

建築基準法第86条および各自治体の条例に基づき、島根県内の垂直積雪量は、松江市・出雲市などの平野部でも50cm〜、山間部では150cm以上に設定されています。
松江市を含む山陰地方の雪は、水分を多く含んだ「重い雪」です。1立方メートルあたりの重量は数百キロに達することもあり、老朽化した空き家の屋根には数トンもの荷重がかかります。
※参照:島根県HP 島根県建築基準法施行細則第11条の3 (ろ) (は) (に) 垂直積雪量
人が住んでいれば暖房の熱で雪が溶けたり、雪下ろしをしたりしますが、空き家はそのままです。この重みが何週間も続くことで、建物の骨組みである梁(はり)や柱が少しずつ歪み、ある日限界を超えて一気に崩れてしまうのです。
5-2. 年中ジメジメ。島根の「湿度」が家を腐らせる
島根県は全国的にも湿度が高い地域です。特に冬場は晴れ間が少なく、湿った空気が停滞します。
- ●カビと腐朽菌: 閉め切った空き家は風が通りません。床下の湿度が上がると、木を腐らせる「腐朽菌」が元気になります。
- ●シロアリの好物: シロアリは湿った柔らかい木が大好物です。床下から侵入し、家の土台をスカスカにしてしまいます。 「見た目はきれい」に見えても、シロアリに食べられた家は地震のときに簡単に倒れてしまいます。島根で空き家を守るには、この「湿気対策」が何よりも大切なのです。
6.2024年から始まった、新しいルールと「お金」の話
国も「空き家をそのままにしておくのは危険だ」として、2024年にルールを大きく変えました。知らないうちに損をしないよう、ポイントを整理しましょう。
6-1. 「管理不全空家」になると税金が6倍に!?
これまで「家が建っていれば土地の固定資産税が安くなる(住宅用地特例)」という仕組みがありました。しかし、これが変わりました。
- ●新しい基準: 窓が割れている、庭の草がボウボウ、壁が剥がれているといった家は、市町村から「管理不全空家」というレッテルを貼られます。
- ●税金のアップ: 市町村からの「勧告」に従わないと、これまで受けていた税金の割引がなくなります。結果として、翌年から固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があるのです。 これは罰金というよりも、「ちゃんと住宅として管理していない場合は、更地の人と同じだけの税金を払ってくださいね」という公平なルールへの変更です。
※参考資料:【国土交通省】固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
6-2. 相続の手続き(相続登記)が義務になりました
2024年4月から、不動産を相続したら3年以内に名前を変える手続き(名義変更)をしなければならなくなりました。
- ●罰則: 正当な理由なく放置すると、最大10万円の「過料(かりょう)」というペナルティを受けるかもしれません。
- ●本当のリスク: 名前を変えないまま放置すると、将来いざ「家を売りたい」「壊したい」と思ったときに、不動産の権利者となる親戚一同のハンコが必要になる場合があるなど、手続きが何年も進まなくなる可能性もあり、恐ろしい事態(相続の迷宮入り)を招きます。
7.火災のリスク。空き家は「持ち主のせい」になりやすい?
空き家で最も怖いことの一つが火事です。誰もいないはずなのに、なぜ火事が起きるのでしょうか。その多くは「放火」や「不審火」です。
本来、日本には「失火責任法」という法律があり、うっかり火を出しても重大な落ち度がなければ、隣への賠償はしなくていいことになっています。しかし、空き家の管理を正しく行わない場合など、裁判所から「重大な落ち度(重過失)」があると判断されることがあります。
●例えばどんな状態?
◦窓ガラスが割れたまま放置され、誰でも中に入れるようになっていた。
◦庭に燃えやすいゴミや廃材が山積みになっていた。
◦門扉が開けっ放しで、不審者が入り込みやすかった。
このような状態で火事になれば、「放火される環境を作っていた持ち主が悪い」とみなされ、近隣の家への延焼等が発生した際など、賠償責任をすべて背負うことになりかねません。
8.「どうすればいい?」リスクを解消するための3ステップ
では、空き家とどう向き合えばいいのでしょうか。代表的な3つの方法をご紹介します。
8-1. まずは「定期的なお手入れ」
一番手軽なのは、月に1回程度、空き家の風通しをしたり、草を刈ったりすることです。
- ●自分で行う: 島根県内にお住まいなら、週末に実家の掃除に行くのも良いでしょう。
- ●代行を使う: 遠方にお住まいなら、シルバー人材センターや専門の管理業者にお願いして、定期的に様子を見てもらう方法もあります。これで「管理不全空家」に指定されるリスクを下げられます。
8-2. 国に土地を返す(相続土地国庫帰属制度)
2023年から始まった新しい制度です。「もう土地も家もいらない」という場合、一定の条件を満たせば国に土地を引き取ってもらうことができます。 ただし、「建物が建っていると申請できない」という大きなルールがあります。まずは家を解体して更地にする必要があり、さらに国に納める管理費用が必要になります。
※参照:相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」 | 政府広報オンライン
8-3. 思い切って「解体して更地にする」
将来的に住む予定がないのであれば、建物を解体するのが最も確実なリスク回避です。
- ●メリット: 事故の心配、火事の心配、増税の心配が一度に消えます。また、更地になると土地が売りやすくなったり、駐車場として活用できたりと、次のステップへ進みやすくなります。
9.島根県で「解体」を考えるときのアドバイス
「解体は費用が高そう……」と不安になるのは当然です。でも、島根県には所有者を助けてくれる仕組みもあります。
9-1. 自治体の「補助金」をチェック
松江市、出雲市、浜田市など、島根県内の多くの市町村では、古くなった危険な空き家を壊すための補助金を出しています。
- ●ポイント: 補助金は年度ごとに予算が決まっていて、「早い者勝ち」の側面があります。もし検討されているなら、年度の初め(4月〜5月頃)に相談に行けるよう、今のうちに見積もりを取っておくのが賢い方法です。
9-2. 節税になる特例がある
相続した家を壊して売却する場合、売った利益にかかる税金を最大3,000万円まで安くしてくれる特例(相続空き家の3,000万円特別控除)があります。解体費用を売却代金でまかなえる可能性があるため、税理士や専門業者に相談してみる価値は大いにあります。
※参照:タックスアンサー(よくある税の質問) No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 | 国税庁
10.結論:大切なのは「早めの相談」と「決断」です
島根県での空き家放置は、想像以上に大きなリスクを背負うことになります。しかし、それは「適切に対処すれば防げるリスク」でもあります。
実家などの家屋にはたくさんの思い出が詰まっているはずです。その大切な家が、いつの間にか自分や家族、そして近隣の方々を苦しめる存在になってしまうのは、とても悲しいことです。
「まだ大丈夫だろう」ではなく「今のうちに準備しておこう」と考えることで、選択肢は広がります。管理を続けるのか、売るのか、壊すのか。ご家族で話し合うきっかけにしてみてください。
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