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空き家は解体しないとダメ?島根で使える「壊さない」5つの選択肢と後悔しない判断基準

2026.08.31
コラム
島根県内にある実家や空き家について、「そろそろ解体を考えないといけないのかな」と思いながらも、心のどこかで「本当に壊してしまっていいのだろうか」と迷っていませんか。

「両親が生まれ育った家を壊すのは気が引ける」「まだ使う可能性があるかもしれない」「解体費用が数百万円もかかるなら、今すぐ判断できない」——こうした気持ちを抱えるのは、決して珍しいことではありません。

結論から申し上げます。空き家は、必ずしも「解体」しか道がないわけではありません。
私たち「アースサポート株式会社」は、島根県内で数多くの解体工事を手がけてきた会社です。だからこそ正直にお伝えしたいのですが、すべての空き家に解体をお勧めしているわけではありません。物件の状態や、所有者様の今後の計画によっては、「解体しない」という選択の方が合理的なケースも多くあります。

本記事では、島根の空き家事情を知り尽くした立場から、「解体しない」ために実際に使える5つの選択肢と、それぞれのメリット・デメリット、そして「解体しない」を選ぶ前に知っておくべきリスクまでを、公的機関の情報に基づいて正直に解説します。

島根県の空き家「解体しない」選択肢の要点まとめ 空き家は解体しないといけない?
いいえ、必ずしも解体一択ではありません。古家付き売却、空き家バンク登録、賃貸活用、管理サービスの利用、リフォームなど、島根県内で実際に使える選択肢が複数あります。

「解体しない」を選ぶ場合の注意点は?
何もせず放置すると、固定資産税の軽減が受けられなくなる「管理不全空家等」に指定されるリスクがあります。「解体しない」=「放置」ではなく、いずれかの方法で適切に管理・活用することが前提です。

まず何をすればいい?
建物の老朽化度合いと立地条件によって向いている選択肢が変わります。判断に迷う場合は、解体業者・不動産会社どちらでも、現況確認だけを依頼することが可能です。

1. その前に知っておくべき「何もしない」ことのリスク

「解体しない」という選択肢について解説する前に、必ず押さえておいていただきたいことがあります。それは、「解体しない」ことと「何もせず放置する」ことは、まったく別物だという点です。

空き家を放置すると、以下のようなリスクが現実に発生します。

固定資産税の軽減が受けられなくなる「管理不全空き家」制度
住宅が建っている土地には、「住宅用地の特例」という固定資産税の軽減措置が適用されています。具体的には、200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は課税標準額が価格の6分の1に、200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)は3分の1に軽減される仕組みです。これは地方税法に基づく全国共通の制度で、松江市など島根県内の市町村も同様の軽減が適用されています。
※参照:土地に関する特例措置・負担調整について/松江市ホームページ

2023年(令和5年)の法改正により、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に新たに「管理不全空家等」という区分が設けられました。これは、これまでの「特定空家等(倒壊の危険性が高いなど、すでに深刻な状態の空き家)」の、いわば一歩手前の段階を指す新しい区分です。
 ※参照:空き家対策|国土交通省

市区町村から「管理不全空家等」や「特定空家等」として指導を受けたにもかかわらず改善が見られず、勧告を受けてしまうと、この住宅用地特例が解除されます。その結果、土地部分の固定資産税は軽減前の税額に戻ることになり、実質的な負担は数倍規模に増加します(一般に「固定資産税が最大6倍になる」と言われるのはこのためです)。
※参照:「空家法」と「2023改正空家法」/国土交通省

つまり、「壊すのはもったいないから、とりあえず何もせず置いておこう」という判断は、税制上のリスクを抱えたまま先延ばしにしているだけ、というケースが少なくありません。

行政代執行によって、解体費用を後から請求されるリスクもある
老朽化が進んだ空き家をそのまま放置し、市区町村からの助言・指導・勧告・命令にも対応しないまま「特定空家等」に指定され続けると、最終的には自治体が所有者に代わって強制的に解体(除却)を行う「行政代執行」という手続きに進む可能性があります。

この場合、代執行にかかった費用は、後日所有者に請求されることになります。「自分で判断して解体しなかったのに、結局は解体費用を負担することになる」という、最も避けたい結果です。
※参照:行政代執行とは/NPO法人空家・空地管理センター

つまり「解体しない」=「放置する」ではない
ここで大切なのは、「解体しない」という選択をする場合でも、何らかの形で「適切に管理する」ことが前提になるという点です。次の章でご紹介する5つの選択肢は、いずれも「放置」ではなく、空き家を資産として活かしながら、リスクを回避するための具体的な方法です。

2. 島根県で実際に使える「解体しない」5つの選択肢

ここからは、島根県内で実際に検討できる「解体しない」ための5つの選択肢を、それぞれのメリット・デメリットとともにご紹介します。

① 古家付きのまま売却する
建物を解体せず、土地と建物をセットで「古家付き土地」として売却する方法です。

メリット
 ● 解体費用を一切かけずに手放せる
 ● 買主がリフォームして住みたい、あるいは自分で解体して活用したいと考えている場合、需要が合致すれば売却できる可能性がある
デメリット
 ● 
老朽化が進んでいる物件ほど、買主から「解体費用分」を差し引いた金額で交渉されやすい。一般的に、更地に比べて売却価格が下がりやすく、成約までの期間も長引きやすい傾向がある
 ● 買主が見つかるまでの間、管理責任は所有者に残り続ける

まずは地元の不動産会社に、古家付きでの売却相談をしてみる価値はあります。

② 空き家バンクに登録する
島根県では、県内の各市町村が「空き家バンク」制度を運営しており、公益財団法人ふるさと島根定住財団が支援しているしまね移住情報ポータルサイト「くらしまねっと」ウェブサイトから県内の空き家バンク情報を確認できます。実際に、松江市(「松江市空き家バンク」、平成26年3月開設)、出雲市(「いずも空き家バンク」、NPO法人出雲市空き家相談センターが市の委託で運営)をはじめ、大田市・益田市・安来市・津和野町・奥出雲町など、多くの市町村が個別に空き家バンクを設け、移住・定住を希望する方へ空き家情報を紹介する仕組みを整えています。
※参照:市町村の空き家情報一覧【くらしまねっと】しまね移住情報ポータルサイト松江市空き家バンク/松江市ホームページいずも空き家バンク/出雲市空家について(空き家バンク制度)/大田市空き家バンクへの登録について/益田市空き家バンクについて/安来市空き家情報バンク/津和野町奥出雲町空き家バンク制度について/奥出雲町


メリット
 ● 
登録は基本的に無料で、市町村が運営・関与する公的な仕組みのため安心感がある
 ● 松江市・出雲市では、空き家バンクに一定期間登録することを条件に、家財道具など残置物の処分費用の一部を補助する制度(松江市「空き家バンク登録支援事業補助」、出雲市「空き家バンク登録支援補助事業」)もある
※参照:松江市空き家バンク登録支援事業補助について/松江市ホームページ令和7年度空き家バンク登録支援補助事業のお知らせ/出雲市
 ● 島根県の「しまね長寿・子育て安心住宅リフォーム助成事業」では、空き家バンク登録住宅を購入してリフォームする場合に助成額が加算される仕組みもある
※参照:島根県:空き家対策について
 ● 定住促進という地域貢献の側面もあり、地元に「使ってもらえる」形で実家を残せる
デメリット
 ● 登録すればすぐに借り手・買い手が見つかるわけではなく、立地や状態によっては長期間マッチングしないケースもある
 ● 登録前に、自治体または委託を受けた団体による物件確認が必要になる
 ● 残置物補助などの制度は、登録期間や補助対象者の条件(税の滞納がないことなど)が細かく定められているため、事前に各市町村の担当窓口で条件を確認する必要がある
具体的な制度内容や対象条件は市町村によって異なるため、実家がある市町村の空き家バンク担当窓口、あるいはふるさと島根定住財団のウェブサイトで最新情報を確認することをおすすめします。

③ 賃貸物件として活用する
建物の状態が比較的良好であれば、リフォームを施したうえで賃貸物件として貸し出す方法もあります。

メリット
 ● 
解体せずに継続的な収入(賃料)を得られる可能性がある
 ● 人が住み続けることで、空き家特有の老朽化の進行を遅らせ、防犯面のリスクも下がる
 ● 住宅として使われている限り、固定資産税の住宅用地特例も継続して適用される
デメリット
 ● 
賃貸に出せる状態にするための改修費用(水回り・耐震・断熱など)がまとまって必要になることが多い
 ● 空室リスク、家賃の未払いリスク、入居者トラブルへの対応など、オーナーとしての管理業務が発生する
 ● 山間部や過疎が進む地域では、そもそも賃貸需要自体が乏しいエリアもある

賃貸活用は、都市部や交通の便が良いエリアほど現実的な選択肢になります。地域の賃貸需要を、地元の不動産会社に相談してから判断するのが安全です。

④ 空き家管理サービスで「判断を保留」する
「今すぐ解体するか、売るか、貸すかを決められない」という場合、専門業者による空き家管理サービスを利用しながら、判断を先延ばしにするという方法もあります。

メリット
 ● 
定期的な巡回、換気・通水、庭木の手入れ、郵便物の回収などをプロに任せることで、老朽化の進行や「管理不全空家等」認定のリスクを抑えられる
 ● 県外に住んでいて頻繁に帰省できない方でも、遠隔で管理状態を維持できる
 ● 「今すぐ結論を出さなくてよい」という時間的な猶予が生まれ、家族間での話し合い(相続人が複数いる場合など)を落ち着いて進められる
デメリット
 ● 
管理サービスの利用には費用がかかり、あくまで「先延ばし」であって恒久的な解決策ではない
 ● 管理を怠っている期間中も固定資産税は発生し続ける
 ● いずれかのタイミングで、最終的な判断(売却・賃貸・解体)は必要になる

私たちアースサポートにも、「実家が遠方でなかなか帰れないが、今すぐ解体は決められない」というご相談をいただくことがあります。こうした場合、まずは現況確認だけを行い、結論を急がせるようなご提案は一切いたしません。時間をかけて判断されたい方には、その旨をしっかりお伝えいたします。

⑤ リフォームして自分たちで住む・使う
老朽化がそれほど進んでいない場合は、リフォームによって再び住まいとして使う、あるいは倉庫・別荘・二拠点生活の拠点として活用するという選択肢もあります。

メリット
 ● 
思い出のある実家をそのまま残せる、心理的な満足感が最も大きい選択肢
 ● 島根県の「しまね長寿・子育て安心住宅リフォーム助成事業」など、リフォームに対する自治体の助成制度を活用できる可能性がある
 ● 住宅として使われ続けるため、固定資産税の優遇も維持される
デメリット
 ● 
耐震・水回り・断熱などの大規模リフォームが必要な場合、費用が解体費用を上回ることもある
 ● 家財道具や不要品が大量に残っている場合、リフォーム前の片付け・処分にまとまった手間と費用がかかる
 ● 結局使う頻度が少なく、再び空き家状態に戻ってしまうケースも実際にはある

なお、リフォームを検討する際に家の中に残された家財道具(残置物)の仕分け・処分でお困りの場合は、一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ不用品回収業者に相談すると、法的に適正な処理をしてもらえるため安心です。
※不用品回収業者は、一般廃棄物の許可を持つ片付け堂(https://www.katazukedou.com/)がおすすめです。(島根県内の店舗:松江店、出雲店、雲南店、奥出雲店、大田店、益田店)

3. あなたの空き家はどのタイプ?選択肢の選び方チェックリスト

● □ 建物の老朽化がまだ進んでいない、または軽微な修繕で済む → ③賃貸活用、⑤リフォームして住む が有力
● □ 老朽化が進んでいるが、立地条件(交通の便・周辺環境)は悪くない → ①古家付き売却、②空き家バンク登録 が有力
● □ 過疎が進む地域にあり、賃貸・売却の需要自体が見込みにくい → ②空き家バンク登録(定住促進目的) が有力
● □ すぐに結論を出せる状況ではなく、家族内での話し合いに時間がかかりそう → ④空き家管理サービス でまず時間を確保
● □ 老朽危険度が高く、倒壊や近隣への被害リスクが心配される状態である → 解体を前提とした検討に進むべきタイミング

いずれの項目にも当てはまらない場合や、複数の選択肢で迷う場合は、次章の注意点を踏まえたうえで、専門家に直接相談することをおすすめします。
 

4. 「解体しない」を選ぶ際に注意すべき3つのポイント

「解体しない」という選択自体は決して間違いではありませんが、選ぶ際には次の3点を必ず意識してください。

① 「先延ばし」と「活用」を混同しない
空き家バンクへの登録や賃貸活用は「積極的な活用」ですが、管理サービスの利用による判断の保留は、あくまで「時間を買う」ための手段です。管理サービスを使っている間も、いずれ最終的な判断(売却・賃貸・解体)が必要になることは変わりません。「とりあえず管理サービスに任せておけば安心」と考えて、判断そのものを無期限に先延ばしにしてしまうと、結果的に建物の老朽化はゆっくりと進み、選べる選択肢自体が徐々に狭まっていきます。

② 「管理不全空家等」に指定される前に動くことが重要
前述の通り、2023年の法改正で「管理不全空家等」という区分が新設され、特定空家等になる一歩手前の段階から自治体の指導対象になり得るようになりました。国土交通省の資料によれば、指導・勧告に従わず放置された場合に住宅用地特例が解除される仕組みです。逆に言えば、指定を受ける前に、修繕・賃貸・売却・空き家バンク登録などの対応を自主的に行っていれば、こうしたリスクは回避できます。「まだ指定されていないから大丈夫」ではなく、「指定される前に選択肢を検討する」という姿勢が重要です。

③ 相続人が複数いる場合は、方針を書面で共有しておく
実家を複数の相続人(兄弟姉妹など)で共有している場合、「誰が管理するのか」「将来的にどうするのか」という方針について、口頭の約束だけで済ませてしまうと、後々のトラブルの原因になりがちです。空き家バンクへの登録や賃貸契約には、原則として共有者全員の同意が必要になるケースが多いため、早い段階で家族内の方針をすり合わせ、簡単なメモや書面に残しておくことを強くおすすめします。

現地診断で実際に確認している3つのポイント
「解体しない」選択肢が自分の空き家に合っているかどうかは、書類上の情報だけでは判断がつかないことも多くあります。私たちアースサポートが現況確認をお引き受けする際は、主に次の3点を確認したうえで、解体・非解体を問わずフラットな情報をお伝えするようにしています。

 ● 構造的な老朽度:柱・梁・屋根・基礎に、放置すれば近い将来「管理不全空家等」や「特定空家等」に該当し得る損傷が見られるか

 ● 残置物(家財道具)の量と状態:賃貸・リフォーム・空き家バンク登録のいずれを選ぶ場合も、事前の残置物処分の要否と概算費用

 ● 立地条件と地域の需要:賃貸・売却・空き家バンクのいずれが現実的に機能しやすいエリアかどうか

この3点を確認することで、「解体するべきか、しないべきか」だけでなく、「解体しないなら、どの選択肢が現実的か」まで、その場で具体的な見通しをお伝えできます。

5. よくある質問(FAQ)

Q.解体業者に相談すると、必ず解体を勧められてしまいませんか? A. 業者によって対応は異なりますが、私たちアースサポートでは、現地の状態を確認したうえで、解体以外の選択肢が合理的だと判断される場合は、その旨を正直にお伝えしています。まずは現状を客観的に診断してもらうことから始めるのが良いでしょう。

Q.空き家バンクに登録すれば、すぐに売れたり貸せたりしますか?
A. 必ずしもすぐに成約するわけではありません。立地や建物の状態によってマッチングまでの期間は大きく異なります。あくまで「候補の入口を増やす」制度として捉え、他の選択肢と並行して検討することをおすすめします。

Q.「管理不全空き家」に指定されるかどうかは、どこで確認できますか? A. 管理不全空家等や特定空家等の判定は、各市町村が個別に実態調査等を行って判断するものです。ご自身の空き家が該当するかどうか不安な場合は、まずは市町村の空き家対策担当窓口へ確認することをおすすめします。

Q.空き家管理サービスと解体業者は、どちらに相談すればいいですか? A. 「解体するかどうかがまだ決まっていない」段階であれば、どちらに相談しても構いません。私たちのように解体・産業廃棄物処理を専門とする会社でも、現況確認や今後の方針に関するご相談から承ることができます。

6. まとめ:判断に迷ったら、まずは第三者の意見を聞いてみる

空き家は、「解体するか、そのまま放置するか」の二択ではありません。古家付き売却、空き家バンクへの登録、賃貸活用、管理サービスの利用、リフォームして住むなど、島根県内でも実際に選べる道はいくつも存在します。

大切なのは、「解体しない」という選択をする場合でも、何もせず放置するのではなく、適切な形で管理・活用の方針を持つことです。そうすることで、固定資産税の負担増や行政代執行といったリスクを避けながら、納得できるタイミングで次の一歩を選ぶことができます。

私たち「アースサポート株式会社」は、島根県内で長年にわたり解体工事および環境事業を手がけてきた会社ですが、ご相談いただいた空き家のすべてに解体をお勧めしているわけではありません。物件の状態や今後のご計画をお伺いしたうえで、「今は解体しない方が良い」とお伝えすることもあります。

「解体すべきかどうか、まだ決められない」「まずは今の建物の状態を客観的に見てほしい」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。私たちは、お客様にとって本当に納得のいく選択ができるよう、誠実にサポートいたします。
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執筆・監修:アースサポート株式会社(島根県松江市/産業廃棄物処理・解体事業)

 本記事は、島根県内で長年にわたり解体工事および環境事業に携わってきた当社が、国土交通省・島根県・県内各市町村が公表する制度情報に基づき、解体を専門とする立場から「解体しない」という選択肢についても客観的に整理し、執筆しています。